最後の夜
1/1
日差しの眩しさで目が覚めた。
風もなく穏やかな新年の朝だ。
釣友はまだ眠っている。
ウトウトしては目覚めを繰り返し、
今日も3時間くらいだろうか?
もう眠れないことはわかっているので、
車を降りて川を眺めながらのんびりと過ごす。
時折、水の中をギラつきが走る。
こんな時に限って偏光は車内に置いたままだ。
目を凝らして見ると、どうやらボラのようだ。
昨夜までは見かけなかったのに。
釣れたシーバスのサイズから考えるといささか大き過ぎるボラではあるが、
こんな状況ではありがたい。
今夜、状況は好転するのだろうか?
やっと起きた釣友と風呂に行き、カレーを食ってビールを飲んで昼寝。
字面だけ見ると贅沢な正月だ(笑)
夕暮れまでゆっくりと過ごし、いざ決戦へ。
ひとまずは釣果も出たし、正月のUターンが始まる前に帰ろうという今夜はそう、最後の夜。
下げ5分までだ。
それ以上粘ると帰りの渋滞に巻き込まれてしまう。
まずは釣友の初フィッシュだ。
最も可能性のあるファーストルアーは彼に託す。
が、さすがに1投目からは食っては来なかった。
暮れ始めたばかりのこの時間、
魚はまだここに来ていないのかもしれない。
パターンは終わりかけているとは言え、必ず魚は来る。
そう信じてキャストを続けていると、釣友からヒットの声。
難なくランディングして、彼も無事に2019年の初物を手にした。
サイズはこの遠征を通して最小かもしれない。
この場所も終わりが近いか。
暫くのちに彼が釣り上げた2匹目も同じサイズだ。
確信めいた思いにどちらともなく、もう終いにしようか?と言葉が漏れた。
この夜、自分は釣ることは出来なかったが、もう充分だ。
また釣れないホームへ帰ろう。
本当の2019年が始まる。